締めつけるような寒さの中、僕は何を思いリュックを背負って歩いているのだろう。

2021年も今日で最後だ。毎年この日、人々はその1年のことを振り返る。変わったことと変わらないこと。新しく出会った人と別れた人。なぜ人は今日という日に過去1年間を振り返るのだろう。昔から僕にとって、人というのはブラックホールのように何も知り得ない存在だった。

そういう僕も毎年この日になると思うことがある。来年は誰と何をして年を越しているんだろう、と。毎年そう思いながら、毎年特に何かをしているというわけでもなく、家にいていつの間にか年を越しているような気がする。来年の大晦日に、自分が生きているという保証なんかどこにもないくせに、僕は何か淡い光のようなものを信じてまた今日も1年後に思いを馳せるのだろう。

電車に乗って座っている。ふと視野に、つないだ手とスーツケース2つ。顔を上げると、女性が男性の肩に寄りかかって眠っている。その奥の車窓から見える東京の色。冬の空は、高くて広い。僕の居場所は、この空のどこにあるんだろう。