燃胞

この文章を書くとしたら、きっと真夜中だろう。久しぶりに、希死念慮がやってきた。突然出てきたのではなく、必死になって押さえ込んでいるだけで常に僕の心の表面で眠っているこの思いが、目を覚ましただけだった。機械が初めて心を持った時のような、希望ではなく絶望が、やっぱり確かにあった。

今までの人生、色々経験しているようで何も経験していないと気付きました。他人に優しくしていると思い込んでいるだけで誰にも優しくできていないと気付きました。小中高と必死こいてここまで生きてきました。ルールも破らずクソ真面目に先生の言うことを聞いてここまで生きてきました。大きな反抗もせず、犯罪も犯さず、人前で悪口なんて滅多に言わず、そうやって飯食って用足して布団に入って寝てちゃんと人間として生きてきました。その結果がこれですか?全ての結果が自業自得だとしたら、僕達は結局一人で生きなくてはいけないんですか?どれだけ頑張って頭をひねって言葉を紡ぎだそうとしても僕の稚拙な頭じゃ僕の本当の気持ちは誰にも伝わらないということ、僕にしか出せない言葉があるというナルシストな妄想はもういい加減やめた方がいいということ、充分に分かっています。僕はたった一人でも他人を幸せにできないということ、他人の幸せを背負えるだけの大きな背中を持っていないということ、充分に分かっています。もう普通の人生を送るのはできないということ、本当の意味で幸せな瞬間を迎えるのはこの先ないということ、それは、分かりたくないです。でも、分からなくちゃいけないんです。

ついさっき見た夢も、これから見る現実も、どうか夏の蜃気楼で歪ませて。