2020-01-01から1年間の記事一覧

事象の地平面

僕たちは、誰のせいにもできないことを、日々誰かのせいにしながら生きている。それは過去も現在も未来でも、僕たちが人間である限り在り続ける業なのだろう。そんな矛盾を抱えながら、僕は今日も、誰かのために生きている。 2001年、まだ僕が僕ではないとき…

ひとつまみの声

ああ、これは今書いとかないといけないな、と思った。 言葉は人間と同じだから、ちょっと気を逸らしただけでどこかに去ってしまう。言葉は人間と同じだから、大切に扱う必要がある。言葉は宝物だから、どこかに仕舞う必要がある。だから、言葉を伝える空気の…

tone code

人がいるから音が存在するのか 人がいなくても音は存在するのか これは物理的な話ではなく 哲学的な話でもない ただ、僕の話 人が作った音より 自然の音のほうが好きだ なぜなら人が作った音には 感情が存在する それは僕の感情でもあるし 作者の感情でもあ…

猫をなでるたび、思うことがある。猫をなでることで幸せになるのは、猫なのか、人間なのか。なあ猫よ、教えてくれ。なぜ人は人を苦しめるのか。なぜ人は人を想うのか。なぜ人は独りになったときに誰も助けてくれないのか。なぜそんな世界でも幸福が存在して…

記憶を匂う

僕の部屋には、いつも匂いがなかった。 23時、窓とカーテンを閉め切った薄暗い部屋で味のないカフェオレを飲んでいた。蜘蛛の巣のように纏わりつく湿気を全身に感じながら、僕はただベッドで横になる。いつしか僕も、常に味を感じられる時があったのだろうか…